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大養協2024年度秋季大会シンポジウムのプログラム

開催日:2024 年 10 月 13 日(日)13:00~17:00
会 場:早稲田大学 22 号館 2 階
お申込み:https://peatix.com/event/4096724/view 
     ※ 申込み締切は 2024年10月9日(水)23:59 です
主催:大養協
お問い合わせ先:大養協事務局:daiyojimu@gmail.com


【テーマ】

みなさん! 登録日本語教員養成機関・登録実践研修機関の登録申請の進捗状況はどうですか? ~みんなで情報の共有をしましょう!

【趣旨】

2024年4月1日に「日本語教育機関認定法」が施行され、各大学では登録日本語教員養成機関・登録実践研修機関の登録に向けた手続きを進めているのではないでしょうか。しかし、私たちにとっても初めての試みであり、戸惑うことも多々あります。そこで、今回のシンポジウムでは、企画フォーラムとして、登録日本語教員養成機関・登録実践研修機関の登録申請をする過程で各大学が抱えている課題を共有したり、どのように対応すべきかを議論したりする場を創出したいと考えています。
企画フォーラムでは、まず大養協の企画理事がそれぞれの現場での登録日本語教員養成機関・登録実践研修機関の登録申請の進捗状況を報告し、申請の準備を進めていくなかで抱えた「モヤモヤ」を述べるとともに、参加者みんなで話し合いたいディスカッションポイントを提示します。その後、ディスカッションポイント別にグループに分かれ、参加者間でディスカッションを行います。
また、今回のシンポジウムでは、新たに会員による日本語教員養成の調査研究及び教育実践に関する発表の時間も設けました。

【プログラム】

13:00~13:10 開会式(201教室)
 開会の挨拶(13:00~13:05):岡本能里子(大養協代表理事)
 趣旨説明(13:05~13:10):瀬尾匡輝(大養協企画理事)

13:15~14:55 分科会(会員による発表)
 ※ このセクションは、3つの分科会に分かれています。

分科会①(206教室):司会 副田恵理子

発表①(13:15~13:45)
オンライン教壇実習による日本語教育人材養成の発展と課題―2000年代からコロナ禍までの実践に関する調査
守屋久美子(東京外国語大学特別研究員)

本調査では、2000年代からコロナ禍までに行われたオンライン教壇実習の研究および実践報告について、実施年代、実習先、オンラインへの接続形式、成果および問題点の観点から整理した。調査の結果、国外だけでなく国内の学習者を対象としてオンライン教壇実習が行われており、実習生側および学習者側の双方にとって最善を模索した結果、さまざまな接続形式が採用されていたことが示された。成果としてオンラインツールによる学習者への接触機会の確保や信頼関係構築の可能性が挙げられ、オンライン教壇実習の今後の実施可能性が示された。一方で、接続機器に関するトラブル、実習期間中の参加者の減少、オンラインへの対応、学習者の様子の把握が困難点として挙げられた。

発表②(13:50~14:20)
日本語教育実習の現場と大学での学びとのギャップ―実習経験者の語りから見えること
杉本香(大阪大谷大学)・塩田朝子(南大阪国際語学学校)・山本弘子(カイ日本語スクール)・西村美保(清泉女子大学)・北出慶子(立命館大学)

大学の日本語教員養成課程において、実習を学外の教育機関で行う場合に、そのギャップが課題となる。本研究の目的は、受入れ側の日本語学校と送出し側の大学双方の果たす役割と連携の方法を検討し、よりよい実習を模索することである。実習経験者による4組13名のフォーカス・グループの語りからわかったことは、受入れ方法、学習者への教え方、教材、実習生への指導方法等が現場によって非常に多様だということである。それが大学での学びと現場のギャップを生み出し、実習生の戸惑いの要因ともなる。改善のためには送出し側が現場を知ったうえで実習生に準備させることと、実習生・受入れ・送出しの三者が経験を広く共有する場が重要である。

発表③(14:25~14:55)
授業見学とチュートリアル、そして教壇実習の1年間を振り返る―学生の内省レポートから見えてきた成果と課題
半田淳子(国際基督教大学)

日本語学、日本語史、日本語教授法などの必修科目24単位と、日本語教育及び日本研究に関連する選択科目21単位を履修することで、日本語教員養成プログラムの修了書が与えられる。日本語教授法は2年生以上が1年間をかけて3コースを順番に履修し、初中級の日本語教育プログラム(JLP)の授業見学(3回×2学期)と、留学生に対する1対1のチュートリアル(5回×2学期)が義務づけられている。授業見学後は指導案を作成したり、チュートリアル後は学習者の日本語を分析したりする課題もあり、最終学期に行う教壇実習の準備にもなっている。日本語教授法の講義と並行して実践的な取り組みを1年間継続して行うことで、日本語教師という仕事への理解を深め、必要な知識や技能を身につけることができる。

分科会②(207教室):司会 野田大志

発表①(13:15~13:45)
「自身のものの見方」はどのように問い直されるのか―大学の日本語教員養成科目での実践から見えてきたこと
近藤有美(名古屋外国語大学)

本発表では、「日本語教師【養成】に求められる資質・能力」の「態度」(文化審議会国語分科会 2019:24)が、大学の養成課程の座学受講でどのように涵養されたのか、考察結果を報告する。データとして、授業の最終回に行った受講学生の協働での振り返り記録と、学期末に課した振り返りレポート(これまでの自身の「問い」を振り返って分析したもの)を使用した。これらのデータには、これまでの教育経験により身につけた暗黙知を意識化し、固定観念に気づく記述が多数見られた。これらの変化は、「自身のものの見方を問い直す」という「態度」に関連するものであると考えられる。発表では、具体例をあげ、受講学生のものの見方がどのように問い直されたのかを示す。

発表②(13:50~14:20)
大学の日本語教師養成課程における多文化共生社会の市民性形成とコンピテンシー育成を目指した日本語教育実践
林炫情(山口県立大学)・木下瞳(総合研究大学院大学)

昨今の大学における日本語教師養成課程には、現場で求められる実践的なスキルや知識がカリキュラムに十分に反映されていない。加えて、多様な日本語教育のニーズを踏まえた柔軟なカリキュラム設計の必要性や、実習機会の確保、卒業後のキャリア支援、ICT技術の導入と活用などの課題が指摘されている。また、将来日本語教師を目指さない人にとっても有益な養成課程のあり方を検討することも重要な課題として挙げられる。本発表では、日本語教育を主専攻としない大学における、多文化共生社会の市民性形成と包括的なコンピテンシー育成を目指した日本語教育実践の試みを紹介し、その成果と課題について報告する。

発表③(14:25~14:55)
「社会とつながる力を育てる技能」を養成するための日本語教育プロジェクト
福永達士(静岡文化芸術大学)・石垣優里(静岡文化芸術大学学部生)・岡野奈々(静岡文化芸術大学学部生)

『日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)』には、「日本語教師【養成】に求められる資質と能力」として、「教育実践のための技能」、「学習者の学ぶ力を促進する技能」、「社会とつながる力を育てる技能」の3つが記されている。しかし、3つ目の技能については具体的な方法が示されていない。そこで本教育実践では、日本語教員養成課程を履修している大学生だからこそできる実践を模索し、地域の日本語学校の生徒達が、同地域の大学を訪問して、学生や教員と交流し、日本の大学を知るキャンパスビジットを企画・実施した。本発表では、実施の成果と課題を報告する。また、当該技能を改めて解釈し、そのあり方について議論したい。

分科会③(208教室):司会 稲田朋晃

発表①(13:15~13:45)
インドネシア人高校日本語教師は21世紀型スキル育成のためにどのような授業活動を行っているのか
古内綾子(明治大学)・二瓶知子(国際交流基金日本語国際センター)

自身らは新しい国家カリキュラム(K2013)が施行されたインドネシアで、K2013に基づく高校の日本語授業の実態調査と学習者中心の学習方法を実践するための教師支援の方法を探る研究を進めている。本発表ではインドネシア全土の高校日本語教師252名から回収したアンケート調査の結果を報告する。K2013に沿った授業として、ロールプレイ、プレゼンテーション、ポスターやパンフレット作製が多く実施され、コミュニケーション力、創造性、コラボレーションのスキル育成が目標とされていた。そして学習者中心の授業実践として教師らは写真・イラストなどの活用、授業や活動の振り返り等を意識的に実施してることがわかった。

15:05~16:55 企画フォーラム

15:05~15:25 全体会議(201教室)
 趣旨説明(瀬尾匡輝 大養協企画理事)
 大養協会員へのアンケート結果の報告(阿部新 大養協副代表理事)

15:30~16:30 各グループに分かれたディスカッション

グループ1(206教室)
50項目を網羅したカリキュラムをどう作る?
(ファシリテーター 副田恵理子)

限られた教員数、限られた授業時間の中で、全ての受講生が50項目を網羅し、その後の実践研修(教育実習)に繋げられるカリキュラムを作っていくのは大変です。副専攻の場合、ほとんどが必修科目になるのでは? 選択科目で地域や大学の特性を活かしたカリキュラムを作っていく余裕があるのか? など、様々な視点でカリキュラム作りについて情報共有できればと思います。

グループ2(207教室)
受講者の様々な「差異」に、どう向き合う?
(ファシリテーター 野田大志)

日本語教員養成課程を受講する学生には、動機や学習目的、希望している進路、気質(キャラクター)、学習能力をはじめとして、様々な「差異」が存在します。限られた時間、限られた講義数、限られたスタッフという制限のある中で、私たち担当教員は、そういった差異にどのように向き合うべきでしょうか?みなさんと、悩みを共有するとともに、知恵を出し合えたら、と思います。

グループ3(208教室)
みなさんの学校では、「実践研修」どうしますか?
(ファシリテーター 稲田朋晃)

登録実践研修機関の申請が始まったことにより、あらためて実践研修(教育実習)の見直しが求められています。そもそも登録するのかしないのか、教壇実習は自前の機関で行うのか外部に委託するのか、外部委託するならどのように連携すればいいのか、など悩みはさまざまだと思います。本グループでは、参加者各自が持っているモヤモヤや具体的な構想を共有しながら、よりよい実践研修のあり方を考えたいと思います。

グループ4(205教室)
登録日本語教員養成機関になるの、やめよッカナ?
(ファシリテーター 瀬尾匡輝)

“弱小”地方国立大学の副専攻課程では、人的・金銭的にリソースが不足していることから、登録日本語教員養成機関の認定を受けることが難しそうで、登録日本語教員養成機関になるのをやめたほうがいいかなという話が出てきています。やめてしまった後にどのようなプログラムを作るのか、日本語教員養成機関にならずに果たして学生が集まるのかなど、みなさんといっしょに考えられればと思います。

16:40~16:55 各グループからの報告(201教室)

16:55 閉会式(201教室)
 閉会の挨拶(16:55~17:00):山本弘子(大養協副代表理事)

17:30 懇親会
 参加費 5,500円(参加申し込みはPetixでお願いいたします。参加費は現地で徴収いたします)


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投稿日: 2024年8月22日 投稿者: カテゴリー: 大会情報

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