大養協

「大学日本語教員養成課程研究協議会」のホームページです

大養協2024年度秋季大会シンポジウムのご報告


【当日の内容】

2024年10月13日(日)に、「みなさん! 登録日本語教員養成機関・登録実践研修機関の登録申請の進捗状況はどうですか?-みんなで情報の共有をしましょう!」というテーマで、秋季大会シンポジウムを早稲田大学にて対面で開催いたしました。今回のシンポジウムには、94名のご参加がありました。

第I部では、今回初めて大養協会員による発表の時間を設けました。計7件の発表があり、3つの分科会に分かれて発表を行いました。参加者からは、「大学日本語教員養成課程に特化した発表が聞ける機会はなかなかないと思うので、非常に貴重な機会だと感じ、大変満足しました」などのコメントをいただきました。

第II部では、阿部新副代表理事から、大養協会員を対象に2024年8月に実施した、(1)これまでの日本語教員養成課程等への「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置」の適用確認申請、(2)登録日本語教員養成機関や登録実践研修機関の登録申請の状況を確認するアンケート調査の結果について報告をしました。当日の資料は参加者、大養協会員限定で公開いたします。以下の資料をダウンロードいただき、メールでお知らせするパスワードをご入力の上、ご覧ください。

資料大養協会員へのアンケート結果の報告

その後、参加者は「50項目を網羅したカリキュラムをどう作る?」「受講者の様々な「差異」に、どう向き合う?」「みなさんの学校では、「実践研修」どうしますか?」「登録日本語教員養成機関になるの、やめよッカナ?」の4つのテーマに分かれ、小グループでディスカッションを行いました。各グループの報告を以下に掲載します。

50項目を網羅したカリキュラムをどう作る?(ファシリテーター 副田恵理子)
50項目の扱いについては、日本語教員養成講座が50項目を均等に分けて授業を行うような効率的なカリキュラムを組み立てられるのに対し、大学では、限られた時間数の中で養成課程以外の授業を活用しながらカリキュラムを組もうとすると、1科目で1項目に焦点を当てる授業がある一方で、複数項目を全体的に幅広く網羅する概論的な授業を作らざるを得ない状況である点が指摘された。特に、大学院では限られた時間数で50項目をカバーすることは難しいことが議論された。また、申請の際に必要になる書類や認定の基準、専任教員の確保の問題、大学側との調整の難しさなどについて、情報共有や意見交換がなされた。

受講者の様々な「差異」に、どう向き合う?(ファシリテーター 野田大志)
課程受講者の差異として、属性(学部生・院生/母語話者・非母語話者)、動機(日本語教員志望/就職活動のアピール材料/異文化間交流への関心)、気質の程度(コミュニケーション能力/真面目さ/明るさ/緊張のしやすさ)等、様々な事例が挙げられた。これらへのきめ細かい対応は容易でないが、担当教員間で十分連携し、学生の課程への取り組み全般において丁寧に指導・助言する必要が再認識された。また多様な日本語教育者を生み出す動機となり得るという、差異のポジティブな側面も注目された。そして大学の養成課程には、教育機関として多様な学生を育む責務があることも確認された。同時に教育内容において、差異を超えた普遍的な土台はどうあるべきか、引き続き模索する必要があることも確認された。

みなさんの学校では、「実践研修」どうしますか?(ファシリテーター 稲田朋晃)
「実践研修」グループでは、教壇実習先の確保に難しさを感じている大学が多く、教壇実習先となる日本語学校と大学をマッチングする仕組みがほしいという意見が多く聞かれた。また、大学では参照枠に沿ったCan-doベースの教育をしているにもかかわらず、実習先では文型中心の教育をせざるを得ないなど、養成課程における教育と教壇実習先における教育のギャップも指摘された。さらに、教壇実習先として地域の日本語教室を検討している大学からは、クラス授業が実施されていない場合は登録ができないことから、地域日本語教室の社会的意義を体験する場が損なわれるのではないかという懸念が示された。そのほか様々な観点から活発な意見交換がなされた。

登録日本語教員養成機関になるの、やめよッカナ?(ファシリテーター 瀬尾匡輝)
「やめよッカナ」のグループでは、登録日本語教員養成機関になることで、これまで様々な取り組みが行われていた日本語教員養成のプログラムで、50項目に準拠した授業を展開することによって大学教育の仕事が「窮屈」になってしまうのではないかという意見、大学職員の事務的な作業が増え、うまく機能しないのではないかといった問題点が共有された。その中で、登録日本語教員養成機関にならずに、海外の日本語教育に特化したプログラム、産学官が連携したローカル色の強いプログラムというように独自のプログラムを開発することも可能ではないかという声も聞かれた。それに加えて、グループの参加者には、申請を進めている者もおり、登録時に必要な「規約」などは国立大学がオンライン上で公開している「規約」などを参考にするとよいのではないかというような建設的なやりとりも行われた。また、次年度以降の大養協シンポジウムにおいて、すでに申請をした機関による体験談を共有する企画を実施してほしいという意見も多数出た。


【当日の写真】

情報

投稿日: 2024年11月1日 投稿者: カテゴリー: 大会情報

ナビゲーション